忍者ブログ
インテルメッツォの書斎
ポケモン擬人化の落書きを投下したり、 基本的に絵や文や設定置き場。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「…血の匂いがする」
「は?」

自分の上司がぽつりと溢した言葉に、七満は眼を丸くした。
一応と思いすんすんと辺りの匂いを嗅いでみるが、そんな匂いはしない。
ここは深海の奥底で清浄な場所。血の匂い等する訳が無いのだ。

「…深渚様、気のせいじゃないですか?」
「気のせいじゃないよ」

きっぱりと言い切った深渚の表情は普段のおちゃらけた明るい顔ではなく、何処か曇った真面目な顔だった。
あまり見ない上司の様子に戸惑って七満が掛ける言葉を迷っていると、
それを待つ事無く、深渚が再び口を開く。

「血の匂いと…んん、あれ誰だろう…?」

何処か遠くを見ながら呟く様に溢された言葉に、七満は何となく理解した。
この人は海の神。それ故か、己の眷族の事は敏感に察する事が出来るらしい。
となると、彼が嗅いだ香りは、この場のものでは無い可能性が高い。
今この海に居らず、一番厄介事に巻き込まれて居そうな眷族と言えば、最近では一人しか居なかった。

「あの、深渚様。多分それは、空さんの事、では?」
「ん?んんー…あ、そうかも。空って旅に出てたんだっけ」
「ええ、相変わらず唐突突然、俺に仕事を押し付けて出て行きましたよ。お陰様で最近過労死しそうです本当」
「うはー…七満の顔が怖い」

顔に疲労と苦労の色を浮かべたまま笑んだ七満を見て、流石に深渚も若干青ざめる。
七満がストレスで一度ぷっつんした事があるが、その時の語れない程の惨状を思い出しているのかも知れない。
少しは真面目にしようと深渚に一瞬でも思わせた位だ。あくまで一瞬だが。

「…しかし、血の匂い、ですか…穢れは受けないで下さいとあれほど拝み倒したのに、全くあの人は…」

不意に七満が厳しい様子で呟く。
海、そして水と密接な関係にある深渚達にとって、血は穢れと言われる程に避けるべきものだ。
あまり穢れを負う…つまりは血に触れ、その匂いを嗅ぐという事は、海の眷族にとっては毒になり得る。
まだ海で起こる海賊などが広める穢れ程度ならば、その役割の者が水を浄化しに来てくれるが、
流石にそれも個人単位の浄化まではしてくれない。

「まぁまぁ、そう怒っちゃ駄目だよ七満」
「しかし下手をすれば深渚様にも関わる事ですよ」
「へ?オレサマに?」
「直接的でなくとも、貴方は空さんの見る穢れを見、嗅ぎました。それで害が及ぶ危険性もあります。
…それに、流石にこのままでは空さんだって衰弱する一方でしょう」

何だかんだと自由奔放で仕方のない人だが、
これでも彼の存在が占める役割とウェイトは意外と大きい部分がある。
それに彼は、深渚と同じ位の力を持つ上、その深渚の一番の理解者でもあるのだ。
そんな彼を無くす事は、損得の要素を無視した上でも避けたい。
そう七満が思っていると、深渚が宙を見上げて考えながら言った。

「んー…、でもさぁ七満、空は結構色んな事を考えてる奴だから、今回の事も何か考えがあったんじゃないの?」
「は?…全然何も考えて無いように見えますけど」
「それは見た目だって。空は難しく見られるのが嫌いみたいだから、
自分の思ってる事は上の所だけしか見せてくれないんだよ。
オレサマには良く分かんない事だろうなって笑って言ってた」

七満は絶句した。それは確かに、深渚は分からない事だろう。
彼は思った事は全部言うし、やろうとする事は全部する。
悔いの残らない様に生きている彼は、難しい答えを抱かない。
それを踏まえて空は、理解を求めず笑ったのだろうか。

「だからさ、多分その穢れに近付くっていうのも、空が考えてした事だと思うんだ。
なら、オレサマ達はあれこれ言えないよ」

そして深渚は、そんな空を理解せず、ただ受け入れた。
まるで海の様に全てを受け入れて、彼を信用する。
七満は、そこでひとつ深い深い溜め息を吐いた。

「全く…貴方は良く分からない所で寛容ですね」
「うんうん、オレサマの心の広さを七満も見習うべきだと思う!」
「そこは別だと分かりませんかこの馬鹿上司」
「あ、ちょ、痛い!拳骨ぐりぐりは痛い!暴力反対!!」
「なら俺は仕事サボり反対を掲げます」
「…」
「顔を背けない!」

 


(全ての穢れと咎を受け入れて、
海に住まうのは、海自身)



 

*****


深渚(カイオーガ♂寄)と七満(ランターン♂)の話。
旅に出ている空(ルギア♂寄)について。
深渚は海を管理する神様且つ、海の化身の様な物なので、
海出身の眷属の事はぼんやりと把握出来るようになってます。

ちなみに穢れの作用でも神及び神に連なる者が死ぬ事はありませんが、
その穢れを浄化しない限り死ぬ寸前の苦しみを延々と味わう事になります。
勿論空はそれを理解していて、その上での行動。
多分じわじわ身体機能が鈍っていく類じゃないかなとか思いつつ…(・ω・`)

 

PR

「ねえ樋之下、覚えておくんだよ」
「…何を?」

暗い暗い夜。ざわめく木々が生い茂る森で、硯は樋之下の頭を撫でた。
その顔はいつもの様に笑っているが、何処か、何かが違うような気がして。
樋之下は、心配そうに硯を見上げながら分からない質問の意図を問う。
硯は樋之下を見ないで、夜色の虚空を見たまま答えた。

「誰も信じちゃ駄目って事をさ。誰も、誰もね」
「…硯の事も?」
「そうだよ。僕の事も信じちゃいけない」
「何で…?何で信じちゃ、いけないの?」

樋之下の問いに、硯はまたにこりと微笑む。
そして今度はしっかりと不安そうな樋之下の方を向いて、その両頬に手を添えて口を開く。
樋之下に言い聞かせるように。そして、何処か自分に言い聞かせる様に。

「僕の片目は、信じていた人に光を奪われた。僕の大切な人は、信じていた人に殺された。
信じれば、必ずいつか裏切りがあるんだよ。まるで必然みたいにね」

いつもは閉じている片目を、樋之下に見せ付ける様に開く。
樋之下が初めて見た彼の片目は、輝きを失い、ただ虚ろな色を映すばかりだった。
そんな目で、彼は微笑む。虚ろな色を移した空ろな笑みで、微笑む。

「だから、君は誰も信じちゃいけない。傷付いて壊れて、僕みたいになっちゃいけない。
隣人を疑え。友人を疑え。恋人を疑え。…分かったかい?」
「…良く、分からない」

幼い子供は、ふるふると俯いて首を振った。それから何処か不安そうに俯く。
それを見た硯は目を細めると、樋之下から離れて、そして静かに一瞬だけ笑みを消す。
びゅうと風が吹き、木の葉が二人の間に舞った。樋之下の視界が、僅かに遮られる。

「そうかい…ならいずれ、僕が教えてあげるよ。君は聡い子だから、きっと直ぐ分かるさ」
「…硯?」

風が止んだ。木の葉は散り、樋之下の視界に景色が戻る。
その中で、彼はもう笑みを浮かべ直していた。
けれども、その笑みは何処か憂いの色をたたえている事に、
幼い子供は、気付かない。

 

 

(「哀れな子。全てに見放された憐れな子。
僕が教えてあげるから。信じる事の愚かさを」)

 

******

 

子供時代の樋之下(ドータクン♂寄)と、硯(ネンドール♂寄)の話。
色々とあって硯が樋之下の育て親な感じなのですが、
硯自体が色々捻くれてるので、樋之下は立派な捻くれ性格になったようです←

ちなみにここで硯が教えてあげると言った事は、樋之下が成長してから失踪と言う形の裏切りで成されます。
それが若干トラウマの一端気味の様子で、樋之下は人を信じれなくなってたり(・ω・`)
硯も、自分みたいになる前にという親切心の元での行動だったのですが、
やはり、どうにも少々親切心というにはズレてしまっていた模様。

 

例えば君が『化け物』を刺して貫く時、私は目を逸らさずにいようと思う。
隠れていろと言われても、その瞬間だけは見ていようと思う。
ねぇ、君は気付かないのかな?化け物は、泣いて、悲しんで、大切な人の名を呼んで、
そう、まるで私達と同じ。
彼らにも生活があって、人生があって、意思がある。獣じゃないんだ。
それに君は、いつ気付くのかな?
もしかして、もう気付いているのかも知れないね。
気付いて、覚悟した上での殺戮なのかも知れない。
だって、君はいつも彼らを狩る時、色んな思いが混ざった顔をしているから。

でも、それでも君は気付いてないんだろうなぁ。
私だって、人に危害を加えさえすれば、君にとっての化け物になるんだって事。
私は彼らみたいに死なない。彼らみたいに老いない。条件は同じ。
なら、引き金を引いてしまいさえすれば、君は私を、刺し貫かざるを得なくなる。
彼らを狩るみたいに、刃を向けて。でも、それに気付いた君は、どうするんだろう。
私が何かを起こしてしまう前に始末するのかな?
それとも全部許容した上で、傍に居るのを許してくれるのかな?

正直、私はどっちでも構わなかった。
それが君の意思ならば、私は絶望と痛みを甘んじて受けよう。
それが君の意思ならば、私は平穏と幸せを噛み締めよう。
だから、君がいつ気付くのか、私は見守っていようと思う。
そして、積み上がっていく痛みを見送って行こう。
いつかの何処かの未来を見るように

そして願わくは、その分水嶺が来る前に、君の返事が聞ける事を祈ろう。
いつか、君にした告白の、その答えを。

 


(わたしはきみのすべてを、ゆるします。
だからどうか、わたしのおもいをきいていて)

 


*****

 

空(ルギア♂寄り)の思考独白。
ちなみに「君」は東屋さん宅のヴラドさんの事。
ひっそりお借りしました、有難う御座いました!(・ω・`*)

旅にひっついて行くにあたって、更にその断罪の現場を見るにあたっての思い。
何にも考えていない様に見えますが、結構色々先回りな思考をする子です。
ヴラドさんの狩りの対象を見て、その内に下手をすれば自分もその対象に入り得ると気付いて。
何かが起きてしまう前に、早々に決意を纏めてしまったという話。
これで基本表面は変わらないので、少々性質が悪いです…orz多分普通に笑いながら接してそうだ…。


 


目を閉じる。意識が落ちる。夢は見ない。
けれど今は、夢じゃない別のものが見えた。
知らない真っ暗な場所で、知らない黒い男が言う。
また失うものを抱えたのか、懲りない奴だな、と。
俺は、笑って答えた。
それが俺のやり方だから、と。


目を覚ますと、緩やかな温もりがあった。
寝ぼけ眼を擦りながら視線を落とすと、影璃の腕の中には寝息を立てているダストの姿。
ああ、抱きついたまま寝てしまったんだとぼんやり理解して、影璃は苦笑した。
どうやら腕の中の彼は熟睡している様で、目を覚ます素振りはない。
自分が起きようとすれば彼も起きてしまうかも知れないし、それは何だか宜しくない。
少し考えて時計を見てから、影璃は再び惰眠を貪る事にした。
ぼすんと腕の中のダストに寄り掛かって、その心地良さに僅かに微笑む。
起こさないようにそっと彼の髪を撫でて、影璃は呟きを漏らした。

「…おやすみ、ダスト。ええ夢見いや?」



(それを自分が望むことは、とても滑稽な気はするけれど)



******


続いて影璃の短い話。今度はほのぼの。
星河さん宅のダストさんお借りしました、有難う御座いました…!
うたた寝ネタは影ダス的には第二段ですね(´ω`*)同時進行だったので似たり寄ったりですg(ry)
ダストさんのお陰で影璃も安心して安眠できるんですよとか思いつつ…。
ちなみに夢の中の黒い人は巡。皮肉言いに来ただけです←



 

 

そっと、手を布に掛ける。
ひらりと落ちた白の下には、安らかな顔。
ああ、そうか、あんたは幸せだったんだ。
なら良かった。なら、良かった。
あんたが幸せだった事、俺は忘れない。
ずっとずっと刻み付けるから。
どれだけの数の思い出を刻み付けたかは、忘れてしまったけど。
けど、忘れない。忘れたくない。忘れないで。
願いを抑えて微笑んで、また布を顔に掛ける。
そして、掠れた声で、言葉を紡いだ。



(「いってらっしゃい」

また会えたら、その時笑顔で「おかえり」と言う為に。
そんな事は無いと言うのは、分かっている、けど)

 

*****


影璃(自宅ダークライ♂寄)、旅先での話。
亡くなってしまったのは、古くからの知人。
ちなみに、影璃の主な目的は定住地探しと、色んな人と出会う事でした。
ですが、その他にも一つ旅に出る目的があり、
それがもうそろそろ死んでしまうであろう、もしくは死んでしまった友人の顔を見に行く事。
その人との思い出を忘れてしまわないように刻む為に、影璃は各地を周っています。
誰が何処で亡くなってしまうかは、巡(自宅ダークライ)が夢伝いに教えに来ています。
巡は自主的に(主に自分の興味の為ですが)影璃に影の世界の中から見た情報を与えている様子。

明るい時は馬鹿明るいですが、暗い時は落ち込みまくる子で…(・ω・` )
次はほのぼのなのを書いてあげたい所で…もしくはギャグ←

 

忍者ブログ [PR]


Designed by A.com
カレンダー
03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
斐由イキ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
カウンター